おおいしつむぎ通信

7月下旬より今年の大石で養蚕した繭を使って大石紬を織るための糸を作る作業を大石紬伝統工芸館の座繰り室で行なっています。昔ながらの手回しの座繰り機を使って大石のおばあちゃん達に繭から糸を作る技術を習っています。
大石で今では養蚕をする人以外に糸を紡ぐ人、織る人がいない為、教えてくださるおばあちゃん達の記憶がとっても貴重。私たちは3年かけて大石紬の技術を伝承しますが、今年は糸を紡ぐ工程を習い、来年度その紡いだ糸で帯と反物を織ります。
 (805)

作業のご紹介

では作業のご紹介。繭から糸を引き出して糸にする作業を座繰りと言います。まず繭を煮て、糸が解れやすくなったら繭の表面を軽く掻くと糸が出てきます。その糸を数十本(今は帯の横糸用の太い糸の為数百本)合わせて一本の糸にして巻き取ります。座繰りの作業で難しいのが糸を均等な太さにすること。だんだんと糸が細くなっていくので繭から糸を継ぎ足して糸の太さを保つのですが片手は座繰り機のハンドルを回しながらもう片方の手で鍋の中の繭を掻いて糸を継ぎ足すのは技術が必要です。次は、糸繰りの作業。座繰りした糸を数本合わせて糸にして乾かします。座繰りと糸繰りの作業を繰り返し、この後精錬という、絹糸をやわらかくする作業を習います。
糸を紡ぐ作業をしていて思うことは、一個の繭から糸が終わると最後に蛹がでてくるのですが、絹糸はお蚕の命を頂いて出来ていることを実感します。今回の養蚕では一万頭のお蚕を繭にしましたが、生き物の命を頂いて繭から糸をつくり、その糸で布を織るということ、その布を着物や服として私たちは身にまとっていることの意味を考えさせられます。シルクから連想することといえば「高級、上質、肌触りがよい」などだったのですが今は「命を頂いている」ということがまず心に留まるようになりました。これからは地域おこし協力隊として養蚕や糸紡ぎを体験することによって私たちが得た貴重な学びを、地域の方や若い世代に伝えていけたらと思っています。

見学できます^^

 (801)

糸紡ぎ見学できます!!富士河口湖町地域おこし協力隊facebookページをご覧ください。
または大石紬伝統工芸館にお問い合わせください。

関連する記事

関連するキーワード

著者