明日の西湖(桑留尾・前浜地区)を創造するために

本書の意義と必要性

平成21年1月、西湖を含む富士五湖は世界文化遺産の構成資産候補とされ、平成23年より、地元住民等と富士河口湖町及び山梨県が一体となり、世界遺産に相応しい西湖を実現するために、「明日の富士五湖創造会議」の西湖会議を開催してきた。
本書は「明日の富士五湖創造会議」の成果であり、世界文化遺産に相応しい西湖を実現するための具体的目標と手法を定めたものであり、富士河口湖町総合計画、富士河口湖町景観計画等、富士河口湖町の行政計画に整合するものとする。
本書に記載した事項やルールについては、不変のものではなく、必要に応じて、適正な手続きを経て変更するものとする。

西湖の現状と課題

西湖は、富士五湖の中で精進湖に次いで面積は小さいが、最大水深、貯水量とも本栖湖に次ぐ大きさを有する。湖の南西には青木ヶ原樹海が広がり、湖畔はキャンプ場が点在する程度で観光地化は進んでおらず、ひっそりとした静穏な環境が維持されていることから「乙女の湖」とも呼ばれている。なお、富士山が見える場所は根場付近に限られる。
平成5年には、桑留尾でフジマリモ群落の存在が確認され、山中湖や河口湖とともに、山梨県天然記念物「フジマリモ及び生息地」として指定された。また、平成22年には、絶滅種のクニマスが発見され、観光資源としての活用や保護策の検討が進められている。
(1) キャンプ場
キャンプ場利用者数は富士河口湖町にある四湖の中で最も多く、ゴールデンウィークから9月頃にかけ賑わいをみせている。また、バンガローについては、小・中学校の林間学校やサークルの合宿などの利用が多い。

(2) 散策・ウォーキング
西湖周辺に広がる青木ヶ原樹海は、溶岩上に形成された原生林で、特異な自然環境のもと多様な動植物と出会うことができ、ゆったりと森林浴を楽しむことができる。
平成24年に県政モニターを対象に行った富士五湖の観光等に関するアンケートによれば、西湖を訪れた目的の第1位が散策・ウォーキングであり、2位以下を大きく引き離している。

(3) 釣り・ボート
魚釣りについては、完全禁漁となる1月~2月を除き、ブラックバスやヘラブナ、ヒメマスなどの魚種を対象とした釣りが行われている。
釣り船(エンジン付を含む)の持ち込みについては、これまで自主規制をしてきたが、平成30年3月27日から自然公園法による車馬等乗入れ規制地区に指定された。また、カヌーについては、上記(1)とともに、小・中学校の林間学校等で広く利用されている。
湖水は淡い藍色で山々と青木ヶ原樹海に囲まれた神秘的な湖であり、富士五湖の中でも本栖湖や精進湖とともに観光地化されておらず、静穏で豊かな自然環境が保たれている。湖と樹海越しに見る富士山の眺望、水上バイクやモーターボート等の動力船の規制による静かで安全な環境などから、林間学校等での利用、吹奏楽やスポーツ(マラソン等)の合宿などでも利用されている。
現在、2020東京オリンピック・パラリンピックのトライアスロン競技の事前合宿地として注目されており、大会開催を契機に、大会参加国をはじめ世界各国とスポーツ・文化・経済などさまざまな分野の交流の場として期待されている。
利用が集中する桑留尾の西端に位置する西の越では、ゴミ捨てや犬の放し飼い等の迷惑行為が見られる。

西湖の将来像

西湖の将来像である「誰もが気持ちよく快適に利用できる美しい浜辺」の実現に向けた基本的な方針は以下のとおりである。
  1. 素晴らしい景観と豊富に残っている自然を守る。
  2. 恵まれた自然環境を活かし、釣りやカヌーの体験学習、湖畔におけるキャンプ、合宿、散策など自然とのふれあいを促進する。特に桑留尾については、誰もが快適に共存できる場をつくる。
  3. 水際の植生を適正に管理し、良好な水辺環境の維持・保全を図るとともに、水辺に近づき親しめる場を創出する。
  4. 湖畔の人工物は、必要最小限の規模とし、景観に配慮し、西湖と富士山の景観を破壊しないものとする。
その他将来像に近づくために、目標とする規範(ルール)が定められているので詳しくは資料をダウンロードしてご確認ください。

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